ALSとは?病気や障害を受け入れる心のメカニズム!ALSの介護現場から

介護・暮らし

こんにちは、べいるです。

皆さん、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気をご存じでしょうか?

この病気は運動ニューロンが働かなくなり、次第に身体が動かなくなる指定難病です。

現在私はALSを発症した患者さんの身体介助及び生活介助に関わる仕事をしています。

毎日、約20名のALSの患者さんの生活と関わることで、ALSという病気について理解を深めるとともに、病気や障害を受け入れる心の変化などにも触れています。

それはまさに生きるということを毎日突き付けられている感覚です。

この記事では、ALSという病気について紹介しつつ、実際のALS介護の現場を通じて感じた患者さんの病気受容の過程や心の在り方についてご紹介致します。

ALSとはどのような病気

【原因】

ALSは特定疾患に認定されていますが、現在のところ原因についてははっきりと特定されていません。

私が関わる患者さんの中には、父親もALSだったという人もいらっしゃいますが、一説では全体の5~10%は家族内で遺伝するとされ、家族性ALSと呼ばれています。

【症状】

神経の病気であり、脳から脊髄への運動命令が上手く伝わらなくなって、徐々に身体の自由が奪われていきます。

次第に全身の筋力が衰え、発声が困難となり呼吸の筋力も衰えることから人口呼吸器の装着が必要となるケースがほとんどです。

進行速度はそれぞれ異なり、短期間で一気に進行することもあれば、10年以上かけてゆっくりと進行することもあります

(最初にみられる症状)

✔肘から先の力が入りにくい、上手く動かない

✔食事で飲み込むのがきつい、話しにくい

こういった症状が日常生活に出現し、検査の結果ALSと判明した方が多いようです。

進行性の病気であり、全身の運動が困難になりますが、視力、聴力の衰えはなく、眼球運動の障害も少ないので、文字盤や意思伝達装置によるコミュニケーションが可能です。

私が関わっている患者さんは、長く車いす生活をされている方もいれば、動くのが瞼や眼球のみで自発呼吸もままならず呼吸器を装着し、胃ろうから栄養を取りながら生活される方もいます。

ですが、それぞれがしっかりと意思はお持ちで、自分の生活の在り方について強いこだわりがあり、QOLの向上に積極性を持たれている方が多いです。

病気・障害を受け入れる5つの心の変化

次に、病気や障害を受け入れる心の変化について、まずは一般的に言われている内容をご説明します。

人間は病気や障害、その他ショッキングな事実を受け入れるまで、5つの心の変化を行き来しながら定着させていくとのことです。

【5つの心の変化】

①ショック期

病気や障害などの事実に対して衝撃を受け、呆然自失となりあたまの中が真っ白になる時期です。

②否認期

どうしても受け入れることができず、拒否・否認に転じ「何かの間違い、寝れば治る」など、気の迷いや異なる解釈を得ようとする時期です。

③混乱期

現実を受け止め始める時期で、強い情動や怒りや悲嘆が生じ、周囲の人にあたりがちな時期です。

④解決への努力期

徐々に落ち着きを取り戻す時期で、何とか努力して受け止めていかなければならないと感じる時期です。

⑤受容期

病気や障害を受け入れた生き方を模索し、生きがいを取り戻そうとする時期です。

①から⑤に向かって順番に気持ちは推移するようですが、人はそんなに単純ではありません。

③の混乱期を経て④や⑤の受容期に至ったと思ったら、また③の混乱期に戻ったりなど、この5つの心の動きを行ったり来たりしながら少しずつ受容期へと向かうようです。

また、私が関わっているASLの40代男性の患者さん、普段明るく振舞う下ネタ大好きな方ですが、ALSの発症を知り受容に至るまで3カ月くらいかかったそうで、やはりその過程において①から⑤を行き来されたそうです。

人それぞれ心の在り方は異なりますが、この5段階の受容プロセスは相通じるところが多いのではないでしょうか。

【病気の受け止め方は個人で違う】

病気を受けいれる過程は5段階の変化がベースになるようですが、最終的な受け止め方は人それぞれです。私が関わっている患者さんの例を幾つか紹介します。

【ALSを自力で治す!男性:50歳代後半】

普段は、YouTubeを見たりフェイスブックや小説を書いたりされている方で、寝たきりでしゃべれない状況です。

否認期、混乱期を行き来される時間が長く、「みんなズルいよ。俺も歩きたい。」と悲嘆されたり「お前たちはバカか。」等と意思伝達装置を通じて訴え、取り乱されることもあります。

この方は、病気受容で日々苦しんでおられますが、「ALSを世界で最初に自力で治す。」という病気との対決姿勢をモチベーションにして、個人的に色々と試されており、そういった形で病気と向き合っておられます。

【甘えは許さない!男性:60歳代前半】

現役時代は会社の上役だったとかで、とにかく厳しい性格であり、現在車いす生活を送っています。

人にも厳しいが自分にも厳しく、特に男性スタッフが手を貸すのを嫌います。

この方は、ALSの進行による介助方法の変更を安易には行わず、「動かなくなるまで自分でする。」「胃ろうや呼吸器などは必要ない。」「本当にダメならその時考える。」というスタンスで、病気を自厳の精神で受容してあるように見えます。

【呼吸器は付けません!女性:60歳代後半】

この方は先日他界されましたが、呼吸器を付ければまだ生きることができる状態でした。しかしながら、呼吸器の設置を拒否され、ご主人や娘様もご本人の意思を尊重されるとのこと。

呼吸が苦しくなっても呼吸器拒否の意思は変わらず、スタッフやご家族への感謝の言葉を述べながら逝かれました。

まとめ

今回はALS介護の現場からみた病気受容の心の変化などについてお話しました。

病気や障害など、ショッキングな事実を受け入れるまでの概ねの心のメカニズムは存在するものの、最終的な受け止め方は人それぞれです。

揺れ動きながら行きつく受容のかたちは異なりますが、それはその人の人生観が大きく作用するもの、間違った答えはありません。私は奉仕の精神で関わっていく、ただそれだけです。

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