こんにちは、べいるです。
大事にしていた飼い犬を命を何者かが故意に奪ったとします。

この場合、動物愛護法などの特別法にも抵触しますが、刑法でいえば何の罪だと思いますか?
答えは、“器物損壊罪”です。
刑法では動物を器物として取り扱うのですね。
しっくりこない方も多いでしょうが、刑法ではこういった特殊な形態が多数存在します。
今回は、刑法の暴行、傷害、器物損壊の様々な形態について紹介します。
暴行罪と傷害罪の違い!色々な形態
まず最初に法律を確認します。
暴行とは、『人に対して、蹴ったり、殴ったり、物を投げて当てたりするなど、有形力の行使をする』というもので、法定刑は“2年以下の懲役も若しくは30万円以下の罰金または抑留若しくは科料”です。
一方傷害は、『暴行を加えた結果、傷害を負わせた場合には、傷害罪が適用されます。』というもので、法定刑は“15年以下の懲役又は50万円以下の罰金”となります。
そして、この暴行罪と傷害罪の違いは・・ズバリ、“被害者が診断書を提出したかどうか”になります。
【参考】喧嘩などの暴行・傷害罪については⇩コチラにまとめています。
液体をかける行為
では、暴行・傷害罪の色々について少しご紹介します。
まずはかける行為・・・つばをかける、水をかける、お湯をかける・・・かける行為も色々なものがありますが、今申し上げた3つの“かける”行為は暴行罪になります。

お湯の場合は火傷する可能性が高いですので診断書がでて傷害罪となると思われます。
その他、報道などでよくあるのは、通り魔的に精液をかける、塩酸をかけるなどの犯罪があります。
これらも暴行罪として取り扱い、診断書の提出が加われば傷害罪で取り扱われるということです。
精神的苦痛
次はどうでしょう。
何かしら嫌がらせを繰り返すことで、相手にうつ病など診断名がでるような精神的苦痛を与えた場合です。これは傷害罪となります。

これを聞いて、職場でのパワハラを傷害罪で訴えることができるのでは?と思われた方も多いかと思います。
結論、無理ではありませんが因果関係の立証が極めて難しいでしょう。
民事であれば、ある程度立証できる可能性もありますが、刑事事件で“〇〇氏の×××の言葉や嫌がらせを受けて病気になった”という立証は極めて難しいものがあります。
生活している以上、他のストレス要素の打ち消しが非常に難しいからです。
実際に私が警察に在籍していたときに精神的な傷害事件を送致したことはありません。
それだけハードルが高いのです。
ですが、理論上、精神的苦痛を与えられたとして傷害罪での立件は可能となります。
器物損壊の色々
刑法規定の器物損壊罪は、“他人のものを損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料”とされています。
一般的に、物を壊すといったイメージが強い器物損壊罪ですが、態様は様々です。
(動物は器物として扱われる)
冒頭で説明したように、故意に動物の命を奪えば器物損壊罪に抵触します。
即ち、他人の所有物である飼い犬を傷害するということです。
具体的には、犬の鳴き声などの騒音問題を機に、飼い犬の命を奪うケースなどが挙げられます。
(落書きは器物損壊)

壁の落書きなどは器物損壊罪に該当します。
ただし、水で洗い流して元の状態に戻せるような場合、物に対する効用が害されたとは言えませんので、器物損壊罪は成立しません。
絶対落ちないようなマジックでバッチリ落書きしているような場合に器物損壊罪は成立するのです。
交通事故もわざとぶつかれば暴行・傷害、器物損壊!
普通、車でぶつかった場合は、交通事故となり道路交通法が適用されます。

しかし、わざとぶつかった場合はどうでしょう。
交通事故は基本的に過失によるものです。
なので、わざとぶつかれば、過失ではなく故意が認定され、人若しくは人が乗っている車にぶつかった場合は、暴行・傷害罪、場合によっては殺人未遂罪が成立するのです。
また、駐車中の車などに故意にぶつかった場合も、事故として処理されず、車両に対する器物損壊にあたります。
過失であれば事故、故意であれば車を凶器とした事件になるわけです。
まとめ
今回は、暴行・傷害、器物損壊の色々な態様について説明しました。
単純に殴る、蹴る、壊すだけではないことがお分かり頂けたのではないかと思います。
現場で取り扱ってきた刑法は教科書通りにはいかないものが多かったです(;^_^
この知識を生かす機会は少ないと思いますが・・・参考にして下さい。
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