暴行罪や傷害罪!被害届がなしでも逮捕される?

防犯・防災

こんにちは、べいるです。

先日、交際相手の髪を引っ張った暴行容疑でスポーツ選手が逮捕された報道があっていましたが、実はこの事件、被害届なしでの通常逮捕だったそうです。

被害届が出ていないということは、被害者の処罰の意思が確認できていないということになりますので、暴行罪や傷害罪で逮捕するケースはそんなに多くありません。任意捜査が一般的です。

なのになぜ通常逮捕に至ったのか、、、今回は、被害届がない場合の逮捕について説明します。

被害届がない逮捕

被害申告の意思は起訴要件

冒頭で申し上げたとおり、被害届が出ていない場合の通常逮捕は稀です。

私も警察在籍17年間で、被害届なしの暴行罪での逮捕を検討したことは何度かありますが、実際に逮捕状請求をしたことはありません。

なぜ行わないのか!?

それは被害申告が起訴要件になっているからです。

逮捕して事件を検察庁に送致した後に、検察庁が起訴して裁判にするか、不起訴や略式罰金などの処分に付すかを決めるのですが、被害者の処罰意思は起訴要件になっているので、被害届がなければ起訴されないのです。

また、被害届を出さない事件は被害者も逮捕や処罰を望んでいませんので、捜査側も積極的になる必要性があまりありません。

【参考】逮捕後の手続きについては⇩コチラにまとめています。

あまり知られていない!逮捕後の手続きや流れ

現行犯逮捕の場合

因みに現行犯逮捕の場合には、被害申告などは関係なく逮捕します。

現行犯逮捕は、目の前で犯罪が行われている場合などに逮捕するものですから、わざわざ被害者に処罰意思を確認してから逮捕するのも不自然ですよね!

とにかく、犯人であることが明らかな状態で速やかに身柄を確保する必要があるので、被害届などは、逮捕の後に手続きになります。

【参考】一般人による現行犯逮捕については⇩コチラにまとめています。

私人による現行犯逮捕!一般人も逮捕はできる

男女間のトラブル

先程、私自身も「被害届なしの暴行罪での逮捕を検討したことがある」と申し上げましたが、これはどのような場合に検討したかといいますと、いずれも男女間のトラブルでした。

警察は男女間の暴力やストーカーなどの相談を受けると、ギアチェンジします!

理由は、男女間のトラブルは、最初は些細なものであっても急展開して重大事件に発展することがあるためです。

更に言えば、DVやストーカーに起因する重大な事件は報道で大きく取り上げられ、警察の取り扱いについて厳しく検証を求められるからです。

ですので、やや前のめりの捜査が行われるのです。

実務上は、被害届がない暴行事件だと逮捕しても概ね2日後には釈放されるのが一般的です。

では何のために逮捕するのか?この2日で何ができるのか!?

それは、被害者の避難だったり、被疑者の説得だったり、今後のトラブル発展に繋がる要素の火消しの時間に費やすのです。

逮捕することでお互いを引き離し、被疑者に冷却機会を与えるとともに、被害者に避難の猶予、引いては引っ越しなどの時間を与えるという側面があるということです。

場合によっては、住民票閲覧制限などの手続きをとり、二度と被疑者と被害者が接触できないようにするなど、物理的に接触機会をシャットアウトしたりもします。

まとめ

実務的には、被害届がない暴行罪での逮捕状請求は、裁判所が逮捕状を発付せずに却下するケースもあります。

なので、男女間のトラブルだからといって、警察の判断のみで次から次に逮捕が行われる訳ではなく、あくまで身柄の拘束は裁判所の審査も挟んで行われるものであり、権利の濫用という訳ではありません。

男女間のトラブルの場合には警察は前のめりで捜査しますので、被害届なしの暴行罪逮捕はあり得るのです。

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